西部邁・佐高信の学問のすゝめ

2013年06月08日22:53【西部邁・佐高信の学問のすゝめ】に見る「慰安婦」「戦争」「パンパン」

以前、CS朝日ニュースターで【西部邁・佐高信の学問のすゝめ】というシリーズで、

西部邁さんが、アノ週刊金曜日の発行人佐高信氏と「人物」「本」「映画」について、

2人でひたすら語り合うという番組があったんですが、久しぶりに読み返してみると「慰安婦」「戦争」部分が実に面白い!コレ今こそ読んでほしいなと思ったので、関連部分のみ抜き出しました

佐高さんがサンデーモーニングの時と別人のようなんですよ(゚ー゚)

《従軍慰安婦小説『めぐりくる春』 対談 (西部邁・佐高信)   【学問のすゝめ】》より抜粋2010/09/08

(作家・梁石日(ヤン・ソビル)氏と従軍慰安婦問題を取り上げた小説『めぐりくる春』の説明等 略)

佐高氏「梁石日(ヤン・ソビル)って人の作品は、映画なんか含めて初めて?(初めて) あ~」

003西部氏「『血と骨』?! はある酒場の女性が観て、あんまりあんまり残虐なんで西部さん見るなって(笑) 

素直に観なかった(笑)」

佐高氏「酒場の女性の言う事聞かれた?(笑)」

西部氏「僕ね、これ読んでて、一言で言うとね、作者に悪いけど、非常に読み易い本でね、

物事の一面は表現されてるんだろうけども、やっぱりね・・・・・薄っぺらでね。読みやすかったけども、物事の一側面をかすっただけで、心に打つものがほとんどなかった。」

佐高氏「薄っぺらって、人間が生きていく、、」

西部氏「これ日本の戦争の小説もだが、例えば軍隊というもの、娼婦と軍隊の関係でも人間性そのものの否定だという表現が出てくるけど、でもそうだったら小説の表現はつまんなくなるんではないか。

僕に言わせれば、戦争も、戦争の性も、性をめぐる暴力その他も非常に歪んだ形だが、人間性そのものの発露でもありうるという視点がないと、結局はどっかに悪いやつがいて良い人はかわいそうみたいな話で、子供向けの紙芝居になっちゃうと思う。」

佐高氏「ただこの中に、日本兵と慰安婦の恋愛、、」

005 西部氏「まさしくそう。気が付いててだから作者の表現の中に矛盾が生じるんじゃないかと

要するに、韓国人の娼婦と日本兵の間に恋愛が生じて、、そしてそれを人間性というのならば、人間性そのものの否定なんて事は簡単に言えないんじゃないか

いい例かわからないが、第二次世界大戦だって、好きではないがレマルクがドイツ人にいて、凱旋門とか愛する時と死する時、、あれも簡単に言うと ドイツ人の若き兵士がヒューマニストとして振舞う。ところがドイツの戦争はナチスで言えばここで人間性を否定する、悪しきナチス党員がいたみたいな話になる。

やはり今頃書くなら、そういうどっちをとるかみたいな話じゃ、戦争とか性暴力はないんだと表現してもらいたいなぁ。」

佐高氏「西部さんは要するに従軍慰安婦論争みたいなものがあって、従軍慰安婦は存在しなかったという、、」

西部氏「僕は、"従軍慰安婦"は直どおりに解釈すると、軍の動きと共に兵隊を性の面で慰安する婦人の話と。そういう意味なら別に従軍慰安婦はどっこにもいるもんだが、問題は軍の強制連行で行われたかどうか

もちろん強制連行があったという証言もある事も知っているし、でも調べたらそれはウソの証言・誇大な証言だったと。

僕は両陣営とも偏執的に強制連行があったあったと証言を集めてくる人たちと、その証言を逐一偏執的にまた調べまくってなかったと言っている人達、、もう勝手にやってくれと。

というのは、この話戻すが、最初の方に先程『日本の警察に騙されて』みたいな事があったが、その前冒頭に『小作地の見回り役としてのコヘイセイ、それを誘い込むわけ』(朝鮮の人をね) そうそう、僕はあんまり経験ないんだけど、僕がいくつか実地に関係者から聞いた話で言うと、

例えば友人のお父さんが、日本軍に協力したという事で樺太でソ連軍に処刑された人の話だが、木浦(モッポ)は当時日本兵の労務者の娼婦も含めて、運び出し基地で、彼はそこから韓国人・朝鮮人を日本に運んできた親分

ここいう話は多くて、困っている朝鮮人、娼婦を収入が十倍になると誘って集めて、それで運んできて日本の軍隊に就けるとか、日本の鉱山なりに就けると

そういう事が考えられないまま、強制連行という紋切型の、軍隊の強い日本と当時弱い韓国で、そうなれば当然強いものが弱いものをやっつけてきたハズだ。押さえつけたハズだ。強制連行したハズだという、そういう話がだんだん尾ひれが付けられるのはなんか変だなぁという気持ちはある。」

佐高氏「その命令書があったかという話をこうやるのは、私も違うんじゃないかと思う。例えば城山三郎さんの『特攻』でも、特攻志願の者は前へという話がある。その時に出ない訳にはいかないという状況、それしか選択肢がないというものを、つまりそれは強制ではないという風に(笑)言った場合には、実態とはちょっとズレると思う。」

021  西部氏「そう、それはズレるよね。だからそこの所はほっんとうに微妙で、しかし反対に強制がないというのも現実としてズレるし、また強制だというのもズレる

まぁ特攻の話の方が論じやすいけどね。やっぱり学徒出陣も自分は国の為に死ぬと言う気持ちで行っている。

そこまで本当で、然しながらギリギリまで来たら特攻で一人で死んでいくという事は滅多に選ばれるもんじゃないという意味では、志願したくないなと思う人が多かった事は簡単に想像できる。

でも、私心では志願したくない、死にたくない。然しながらその当時時代の中でのパブリックマインドの在り方として青年たるもの志願せねばならん。つまり一歩前に出るか留まるかという時には、私心とパブリックの心のせめぎ合いがあるわけで、人によっていろんなケースがあるので、そこの所を表現する事は、社会学的にはムリだが、文学はそれだって良い気がする。」

012(中略)

 西部氏「各謝罪談話の話は、100%否定はしないが、

過去の歴史上にあった事柄について、後世がそれについて反省するとか、謝罪するとかそういう事を軽々しくやるという事の中に、

それこそ人間性についての間違った判断が、、つまり人間の感情、認識自体が歴史の中にいて時代の中に居て、そういう中にいない我々があれは悪かったとか良かったとか、果たしてどこまで言えるかという、、そのことに対して物凄い軽はずみな、オマエさん達は何者なんだと。」

(中略)

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西部氏「・・・話戻していい? 

これもわずかな経験なんだけど、日本に来た韓国人の事『僑胞(キョッポ)』って言うが、

僕一度、在日で総連系を連れて韓国旅行した事がある。偉そうに言うと僕が引率って感じで。徐兄弟って拷問にあったでしょ? 

あの人がスパイだったという話ではなくて、あの後だったのでなかなか怯えて、、

つまり脛に傷があったから傷持ったまま本国へ帰ったら、何かの具合でKCIAにやられるんじゃないかという、帰れないという人達が何人かいて、大丈夫だと僕らが連れて行ったことがある。

その時4箇所、ソウルから南下して慶州・百済のプヨ?・・最後釜山行ったりして、色んな町でバーなんかに入ると、カタコトの日本語を喋れる女性達が、連れて行ったキョッポに対して、物凄いアグレッシブルな事をいう。罵倒に近い。

016 『アンタ、所詮キョッポでしょ』と『カネが欲しくて国を捨てて日本に渡った人達の子孫でしょ』と『韓国人のクセして韓国語を喋れないの』と。

僕は義憤に駆られて女性達を叱った。『色んな事情を抱えて日本に居たから韓国語が喋れないだけであって、自分の母国が懐かしいって来ているだけなのにそのからかい方は一体なんなんだ』と柄にも無くケンカしたことがある(笑)

韓国の本国の人達は統計的に分かっているんじゃないかと。あの当時の韓国は貧しいから、少しでも安定した金銭収入にありつきたいと日本列島に渡ったんじゃないかという、本国の人達は共通認識として思ってるんじゃないかと。

韓国語を喋れなくなった在日の子孫にそういう言い方をするのは、そういうのをやっちゃいけないって国際作法にしてもらいたい(笑)」(ブラジル移民の話  略)

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佐高氏
「北朝鮮の帰還事業もそこにしか希望を託せないと、、それからね、ジャイアンツの新浦っていうピッチャーがいたでしょ? あの人はまさに在日で、(向こうに行って野球やってたでしょ) そうです。

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それから広島の福士が、関川夏央が『海峡を越えたホームラン』という本の中で書いたが、

まさに渡ってから苦労するわけです。『オマエはキョッポだ』と『ハングル喋れねぇじゃねぇか』と。」

西部氏「その裏を返して、佐高さんどう思うか、、

NHKで去年?、あの戦争の時に韓国人でありながら、といっても国籍は日本だが、特攻に志願する話で、

ただその番組の趣旨は結局『かわいそう』って趣旨のフイルムになっているわけ。

でも僕は外交上の礼儀作法から言ったら、一応外国人が日本の為に決死の覚悟でカミカゼ特攻という作戦、、あれは原則志願だから、志願してくれたという事に、日本人が果たしてしっかりと感謝したのかどうかと。

僕はしっかりとありがとう、ご苦労様でしたと、あんな志願したら必ず死ぬのに志願してくれたことについては、後世の者としては、ご遺族に日本として感謝すると。感謝状と共に差金ね(笑)」(中略)

西部氏「・・・そういう番組を作るといっつもね、さもこんな酷い戦争の酷い乱暴な作戦に外国人が巻き込まれたと、犠牲者であると、そういう脈絡でしか作られない物語が、僕は嫌だな。」

004 佐高氏「この『めぐりくる春』をめぐってシンポジュームみたいなのをヤンさんも含めてやった時に、

インターネットでユーチューブかニコニコ動画か、バーーッとこうくるわけだが、その大部分が『証拠を出せ』って(笑)ばっかりなんですよ。『証拠出せ証拠出せ』って。

それと『何十年経った後に名乗り出たじゃないか』という話で、それについては在日朝鮮人のエッセイストの女性が、日本以上に儒教の国だから、故郷に居られない、ね、つまり慰安婦とされた場合、????できなかったというのがある。それは日本だって似たようなものありますよね?」

西部氏「もちろんそう。娼婦をやるという事はね。」

佐高氏「だから証拠を出せって(笑) じゃあ、そこで一旦決着したらアメリカの原爆も非難できないのかという話になる。」

西部氏「だから、ともかく僕は結論は簡単すぎるけど、過去の歴史については、自分がその場に居たとしたらどこまでできたかという想像力を最大限駆使した上で、、申し訳なかったと言わざるを得ないと覚悟した上で、然しながらやっぱり国際社会だから、条約というレベルもあれば、、

それからこれは誰もハッキリ言わないけど、あの当時は、帝国主義の末期というより最高潮の段階なんですよ。あけすけに言うと侵略する力を持っている、侵略した実績を持っているかどうかに於いて一等国、二等国、三等国が仕分けされるような世界史の段階だった。

しかもその段階を作ったのは別に日本ではなく、欧米のイニシアティブ

だから日本は免罪と言ってるんじゃなくて、そういう事を全部ひっくるめて、仕分けをしながら語ってもらいたい。」

022佐高氏「ただ、今までこういう従軍慰安婦についての小説についてほとんど書かれてこなかった。ねっ。

『朗読者』との違いはどうなんだろう?」

西部氏「やはり男であれ、女であれ、裏表で、オープンと秘密とかかなり複雑なもの。

それを愛しているか愛していないか、悪いか良いかという形で二者択一するような形には出来るだけ気をつけてもらいたい

例えばこれね、ヤン・ソビルさんにケンカを売ってるワケじゃないが、こういう文章が気になった。『日本兵士は恐怖のあまり娼婦という女に抱きつき、娼婦は日本兵に対する恐怖のあまり、兵隊から逃れようとする』と。

もちろんそういう人も居たと思うし、大まかに言えばそういう風に見えたかもしれないけれども、しかしそれはいかにも単純すぎるし、ヤン・ソビルさん自身が互いに惚れ合う兵士と娼婦の話を承認している事にみられるように、そんな風に兵士と娼婦の関係をぶった切るのは僕はちょっとアレだと思った。そこの所もうちょっとね、、(情婦マノンのストーリー 略)

つまり娼婦と外国人の間には、恐怖と憎しみと色んなことがあるだろうが、同時に滅多にない男女のドラマも出現する。」(美輪昭宏の話など、略 )

Photo  佐高氏西野瑠美子って人が色々聞き書きして書いた従軍慰安婦の本のネタ元にしながら、

ヤンさんがフィクションの翼を広げてアレしたが、従軍慰安婦と兵士の間に子供が生まれて、どっかに里子に出すというか、、」

西部氏「お腹の中の子供を溶かしちゃうっていう言い方とかね、確かにあったと思う。でもそれは軍隊関係の娼婦に限らない事で、貧しいって事も関係ないのかなぁ、

つまり娼婦ってのは人類と共に最も古い商売のひとつで、なんなんだろうと思う時がある。人間って言うのは、、

(一度だけ、東大に入る前に、赤線で娼婦を買って嫌だった詳しい話 略)

人間ってそんなとこあるから、戦争物だから暢気な話は書けないにしても、もうちょっと男も女も歴史も何もかも含めてもっと民間と軍隊ももっともっと人間的に書いてもらいたかったって気はするなぁ。」

佐高氏「まぁ西部さんが最後まで読み通してくれたっていう事で(笑)」

024 以上

西部氏が一度も「従軍慰安婦」と言わず、一貫して「娼婦」と言っていたのが、全てを物語っている気がします。次に映画の話。戦争突入の話が物凄い面白いです。 あとパンパンの語源の話とか右

映画「聯合艦隊司令長官 山本五十六」映画評と当時の政治状況 【西部邁・佐高信の学問のすゝめⅢ】2012年02月06日より抜粋


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ただこの成島映画をまとめていうと・・・丁度去年真珠湾攻撃の70周年か、それを気にして作ったんだろうが、

例えば、映画評論家の寺脇研さん(元文部官僚)・脚本家の荒井晴彦さんたちが僕に、『山本五十六はもしも生きていたらA級戦犯でしょう』と。

それはそうだと思うが、ちょっとまとめて言うと、つまり東京裁判って言うのは、つまりアメリカのね、日本に対する一種の復讐裁判劇というか、法律的裁判を装った見せしめ劇だと思うが、その見せしめ劇に山本五十六が生きていたら主犯だとなっていた。なんせ真珠湾攻撃を始めた人だから。

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とすると、、あんな裁判は見せしめ裁判にすぎんという事を、山本五十六という人物を描く事によって、五十六はなかなかの面白い人物だったと描く事によって、

いわゆる渡部昇一さんなんかが言ってた、東京裁判史観というか、あの戦争は悪い戦争であの戦争を推し進めた人達はね、悪い政治家で、悪い軍人さんなんだというね、で、66年戦後続いたそういうものをね、ある程度払拭するっていう意味で、

山本五十六はなかなか面白い人物であったと。この人が戦争を始めたんだと。それ故にといっちゃ、、あの戦争に対するものの見方をね、大きく軌道修正しても良いんじゃないかって、、

もちろんこれ政治映画でもイデオロギー映画でもないので、そういう解釈は強引だが、でも、でもそういう事で作ったのかな~となるんですかね? 良く分からないんだ。」

佐高氏「私はそう深くは考えないで見たが、つまり指導者の責任みたいな事は、きちっと描いていると思った。(中略)

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佐高氏「あのー、ヒトラーのマインカンプに、日本人を劣等民族視している指摘があると。でそういうのを若い将校たちに嗜めたりする場面もあったので、その辺はかなり丁寧に描いている反面、ちょっと神様にしちゃったなと。」

西部氏「例えば真珠湾でも『失敗だった』というセリフがあったが、これはアメリカの空母が実際に居なかったんだよね。だから戦艦をやっつけただけなんだけど、

それもアメリカ軍軍事基地の徹底的破壊を南雲がしないで帰っちゃった。(ある種の派閥争いの中で、、) そうなんだよね。

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これも山本五十六のせいじゃなくて、海軍全体の東条英機派・統制派の息のかかった人たちを送り込まれているから、五十六さんにはどうしようもなかったのかも知れないけど。」

佐高氏「まっ、全体的にはかなり丁寧な映画だなと思うが、、」

西部氏「そう思いますよ、特にこの時期にこういう形で、これまでは戦争反対でさぁ、帝国軍人は悪い人たちだと子供っぽい色づけ、それから遠く離れたまぁ、ちゃんとした映画だと思う。 」

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西部氏「この映画、奇しくもタイムリーなことになってると思うのは、いわゆるABCD包囲網が、日本に対して経済封鎖を仕掛けてきて、最終段階で油を売らないくて日本は干上がってくる。

それで突破口を求めて、なんとか大東亜共栄圏と言われていたが、それ以上にもう遮二無二でもこの経済封鎖の網を破らなければ国家として自存できないというギリギリまで来てたのは、ちょっと描かれているが、

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もう一つは援蒋ルートを、、だから日本が真珠湾を襲う前から、既に戦争は始まってる。

奇しくもと言ったのは、現在イラン・ベルシャ湾でホルムズ海峡封鎖あれ、アメリカ・イギリスなどが完全に経済封鎖を仕掛けて、イスラエルその他も加担しながら最終的にはイランの核開発施設を軍事的攻撃する寸前まで行っている。

そこでイランがその突破口を求めてホルムズ海峡封鎖に出るという相当キナ臭い、、

恐らく、あの時の日本もそれに近い感じの、少なくとも為政者にとってはジワジワと首を絞められてるっていうね、そこでバーンと爆発したのが日本として軍事的・政治的に巧みだったか下手だったかという議論は可能かと思うが、

大きなマクロ的な歴史の振り返りから言えば、起こるべくして起こった戦争だと。

ペルシャ湾のホルムズ海峡はどうなろうが、あそこまで状況が煮詰まってきたら、何が起こっても不思議じゃない、その寸前まで来ている。

そんなことを考えさせられるという意味で、僕は観客がそこを分かってほしいなと思う。

よくさ、白人帝国主義なんて一言で言うけど、具体的に、、

例えば日本人がアジアを侵略したと、この場合の侵略って言うのは、あってないような国際法を、、自分の方から、軍事的先制攻撃を仕掛けるという意味での日本の侵略は数々あるが、

でも、その前にインド・ビルマにイギリスはいる。フランスはインドシナにいる。オランダはインドネシアにいる。アメリカはフィリピンにいるって、、オマエたちどうしてそこに居るんだよって言われたらね、

人種の問題じゃないけど、白人たちが権力を握っているその当時の帝国主義諸国が、偉そうにね、日本のことをああだこうだ騒ぐなんてのは、僕に言わせりゃ子供の時から思ったけど、1ミリも出来るわけないでしょと、。

そういうことを考えさせる映画、、考えてくれと、、」

佐高氏「つまり、繰り返してるなと思うのは、アメリカとイギリスが大量破壊兵器云々で爆撃したが、大量破壊兵器はイラクになかった。あれは侵略ですよね。(間違いなく侵略だよ ) そうすると、それがまた違った形になると。

今、新聞なんか見てても、やっぱりイランは悪者で・・・みたいな論調ですよね。だから私はこの映画を見て一番思うのは、そういう状況の中で山本五十六に無限の責任はない。有限の責任の中でそれなりのことをやったと。

だから無限責任でやると凄い辛い評価になるが、あの状況の中で敢えて無限責任を要求するでしょ。山本五十六だったら全部何でも出来たような、、でも出来るわけがないわけで、、」

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西部氏「本当にそういう事を色々と考えさせられる。映画では、具体的に言われてないけど、僕あの当時の諜報合戦・スパイ合戦が、真珠湾を襲ってみたら実は空母が居なかったり、

そうすると、少なくとも仮説でいいけどさ、やっぱりアメリカは戦争に引き込んだんじゃないかと。空母が一隻も居ないようなパールハーバーというのは、アメリカは相当程度のことを分かった上で、日本に襲わせたかもね?!と

何もそれを書かなくてもそういう風に感じて、それでアメリカの『リメンバー・パールハーバー』なんて戯言にね、よくもまぁ66年前から言い始めたもんだと

ちょっと話し外れるが、本当に杜撰だなと思うのは、例えば1時間前までに宣戦布告する云々なんて言うが、真面目に考えてくれと。

もちろんワシントンの日本大使館が翻訳が遅れたとか馬鹿な事はあったが、それ以上に、

そもそも戦争というのは、先制攻撃から始まる。どうぞ皆さん存分に備えた上で始めましょうねって、別に将棋さしてるんじゃないから、やっぱり勝つために襲うわけなので、ギリギリまで相手に教えない

厳密に言うと、あの宣戦布告事自体ね、単なる飾りの、、

そのそこだけ膨らましちゃってね、日本は不法な戦争を始めたなんてね、そういうちゃちな話に戦後の日本は全部巻き込まれるんだから。」

佐高氏「ちょっと話変えるが(笑)、真珠湾のかなり難しい攻撃は、北海道で、、」

西部氏「そうそう、千島でのあそこからずっと南下してった。」

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佐高氏エトロフ発緊急電で、佐々木譲さんが書いてる。あの段階で、やっぱ察知されてますよね。」  西部氏「と思うよ僕は。」

佐高氏「察知されてないということはないでしょうね。」

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西部氏「よく言われているが、日本が襲ったときにさ、チャーチルが手を叩いて喜んだと。要するにアメリカを巻き込みたいわけね、イギリスは。

ルーズベルトもやりたかったんだけど、開戦の口実がなかなか見つからないと。そこで『リメンバー・パールハーバー』と。

リメンバーという言葉には『記憶せよ』と『思い出す』と言う意味がある。

僕は日本人は『思い出せ 真珠湾を。あれはやむ終えなかった』とかさぁ(笑)『なかなか山本五十六はがんばったんだ』とかさぁ、そういう意味でのリメンバーをしてもらいたと思う(笑)」

佐高氏「石川好はアメリカ人が『ノーモア・ヒロシマ』で、日本人が『リメンバー・パールハーバー』と言うべきだと。

まぁしかしあまりに戦争は、具体的にどういう形で起こるかを知らなすぎるから、丁度良い映画、、」

西部氏「ホントに、ホントにそう思いますよ。それから今の日本人には分からないことかも知らないが、第一次世界大戦が終わって、パリ講和条約で集まったときに、日本は講和会議で提案した。

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要するに人種差別をやめようと、ガンガン頑張った。ところがそれを適当に誤魔化したのがウッドロー・ウィルソンだ。アイツらですよ。巧みに日本の提案をチェアマンとしてすっぽかして、人種差別廃止国際条約みたいなのをすっぽかした。

案の定、それから5,6年経って、カリフォルニアで日本人移民排斥って、、そんなことにヒステリー起こしているんじゃないが、

帝国主義が絶頂に達したと同時に、やっぱり人種差別もね絶頂に達してたんだよね。

要するに民族皆殺しっていうジェノサイドっていうのは、別にユダヤ人だけの問題じゃなくて、あの時に帝国主義戦争が勃発した時には、他国民・他民族は絶滅しても構わないという、だからアメリカだってそういう思想のつながりで原爆も落とせるし、東京空襲その他で何十万もねずみのように焼き殺すって事、、怒ってるんじゃない、そういうもんだったって事を、、」

佐高氏「ウィルソンがアイツになってました(笑)

ただ、この映画で強調したかった事で、私もそのとおりと思うのは、当時は新聞ですね、つまりメディアの責任。新聞が煽ってんですよね、完全に。軍部の方がむしろ、特に五十六なんかは戦争したくなかった方だから、躊躇っていると、『そんな事で!』って煽るわけでしょ、新聞が。」

西部氏「いやこれ恐らく映画のレベルでここまでハッキリと主張したのはこの成島映画が最初じゃないかな。ちょこまかはあっただろうけどもあの戦争を強引に押してったのはメディアであるというね、小さい声で言うけど、あの映画に出てくるあのナントカ新聞ってのは朝日新聞の事だよね(笑)

佐高氏「まぁ、朝日、毎日が競ってね」

西部氏「毎日もやってたんだけどね。本当に敗戦の日まで頑張ってるからね、メディアはね。でも世間に知らされてないけども、実は意見を変えたんじゃなくて、新聞社内での権力の転覆が起こるんだよ。それまでジッと控えてたリベラル派が、敗戦と同時に会社の編集権とかを握って、そういう形で戦後が始まるんですがね。」

佐高氏「それがある種の政権交代みたいにして、新聞の責任はなかったみたいになっちゃったんです。」

西部氏「この映画はそれが執拗に描かれてますよね。」

佐高氏香川照之、編集局長みたいな人がね」

西部氏「三国同盟を結んで、これぞわが民族の正しい道だと言って、山本五十六他にプレッシャーをかけ続けると」

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佐高氏「だから昭和20年8月15日に、新聞の戦争責任で辞めた人って、朝日新聞を辞めたむのたけじしかいなかったんですって。一人でもいたのが救いなのか、一人しか居なかったっていうことなのか(笑)」

西部氏「これはちょっとズッコケた話だけど、好戦主義。(戦争の女神の話 略)メディアも戦争が大好きなんだけど、この映画でもちょっと描かれていたけど、やっぱり女たちも、男たちが戦うのを見るのが好きなんですよね。

結構、あの時代の女たちは戦後、夫と子供を戦争に取られてかわいそうな女たちみたいな話か出てこないが、同時にいかに女たちが戦争を煽るのが好きかというのを僕はもうちょっと描いてほしかった。」

佐高氏「なるほど~。まぁ煽られて行くのが男ですからね。そういえば戦後パンパンという変な言葉ありましたよね、娼婦。米軍相手の

で、あの人たちの事を書いた中で、彼女たちから見ると、日本の男は打ちひしがれてて魅力なかったと。(そうね~) 敗戦国の男たち。で、やっぱり米兵の方が魅力があったと、、」

西部氏「女はやっぱりね、危機的な状況では、金と権力の周りに女たちは群がるんですよね。だからパンパンもそうだと思うけど、

ところでね、たまたまテレビ見てたら、フィリピンの米軍基地があった時の話で、パンパンって言葉が出てきた。米軍基地があった近所の村の名前がパンパンだった。そこに米軍相手の娼婦が、、それ(言葉)が日本に持ち込まれた。

それを見ただけでも米軍が、フィリピン経由で日本にやってきたっていう事は、タガログ語のパンパンという言葉を見ても明らかなんだよね。」

佐高氏「でも、新聞の責任っていうのはもう少ししつこく丁寧に言わないとアレだ。」

西部氏「それと世論というものの怪しげさね。そういうメディア世論の作り出すひとつのムード・雰囲気・気分の中に、多くの人がワーーッとなだれ込むという、やっぱりデモクラシーの根本にはそういう動きがある。

ですから大戦争こそはまさにギリシャの昔から民主主義につきものみたいなところがある。アメリカだって民主党時代に大戦争やることが多い。

だから民主主義はね、平和主義なんて、、平和と民主なんて言葉はねそう簡単に吐くなよと。

だって民主主義というのは多くの民衆の気分を集めないと民主主義は成り立たない。それが世論だが、それは雰囲気であり気分であると。.そうすると戦争と結びつきやすいものだ。」

佐高氏「だから民衆が愚かであるか賢明であるか。賢明だという前提に立っちゃうからね。(西部氏の弟分の佐伯啓思が竹中平蔵を産経新聞でこてんぱんにやったのと話など 略)」

6fd0011e.jpg(以下 略) 

※これでも、半分ずつくらいカットしました(笑)

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