中国では戸籍制度により、子供たちは出生地の学校でなければ通うことができない。そのため、両親の出稼ぎ先についていっても、その都市の小学校に入学する権利はない。
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南アフリカのウィットウォーターズランド大学の発達心理学者リンダ・リヒター教授は、赤ちゃんは生後1000日の発達環境で、その後の教育成果と成人後の心身健康に重要な影響をもたらすとしている。「例えば、早期の栄養失調、幼児期に心身のケアが怠っていた場合、生涯にわたる認知障害を残す可能性がある」という。
ロゼル教授の研究チームは2014年から、[E:danger]中国農村部で0~3歳のIQを調査している。同様な研究は今まで行われていない。陝西省、河北省、雲南省の農村部の18~30ヶ月の乳幼児のうち、45~53%が正常水準のIQ85以下であることが分かった。今年の夏、北京、河南省、陝西省でも同じ調査を行ったが、結果に大きな違いは見られなかった。
中国当局は2020年までに貧困を「撲滅」するとの目標を達成しようとしているが、国内移住を制限する戸籍制度、住宅購入を制限する制度、農村地の貧困層への教育と医療支援の不足など、課題が山積している。
ロゼル教授は2006年、中国農村部と教育についての研究チーム「REAP」を立ち上げ、地方における発達教育を調査している。スタンフォード大学をはじめ北京大学や北京中国農業政策センターなど、中国のパートナーとも提携している。中国政府は海外拠点のNGO組織に対して過剰な監視を行うため、これを避けるために、REAPが学術団体であることを、ロゼル教授は強調している。(翻訳編集・佐渡道世)