NHK-BS【キャッチ!世界のトップニュース】で、
太平洋戦争時、アメリカの収容所より過酷な境遇に置かれたカナダの日系人について取り上げていたので記録しました(青字はナレーション)
(19世紀末頃から漁業・製造業が盛んだったカナダ・バンクーバーには多くの日本人が出稼ぎに渡り現地に日本人社会を築きましたが、太平洋戦争が始まると日系人は内陸部の強制収容所などに送られ厳しい生活を強いられました。今まであまり知られていなかった日系人の過去を近年見直す動きが出ているカナダ。何故いま見直す事が大事なのか、というリポート )
アメリカの収容所の話も併せて紹介しますが、日本人差別が強烈だった時代の真実の話、「本当の差別の話」です。
ここで今、強制収容所の歴史を伝える特別展が開かれています。収容所内の写真や日系人が携帯を義務付けられていたIDカードの実物などを展示しています。
シェリ・カジワラ氏「展示では『歴史』を過去のものではなく今あるものとして表現するよう試みました」(英語)
カナダに渡った日系人はバンクーバーを中心に戦前は2万人を超えました。しかしその生活は太平洋戦争で一変します。
これは日系人が最初に送られた収容所です。それまで牛や馬の集積場として使われ、家畜の臭いが残る劣悪な生活環境に放り込まれました。
その後、日系人達は、内陸部に置かれた強制収容所や炭鉱に送られ、戦後まで自給自足の生活を余儀なくされました。
7歳の時に家族と共に強制収容施設に連れてこられた日系3世のメリー・キタガワ(83)さんは悪臭が充満していた生活を忘れられません。
「母は『私達は家畜ではないので中には入らない』と言いました。中に入ると糞尿の臭いがして近くから女性の叫び声が聞こえてきました。悲惨な生活でした。」(英語)
日系人に対する差別の実態はどのようなものだったのか。これまであまり知られていなかった歴史を掘り起こす活動が始まっています。
ビクトリア大学のスタンガー・ロス准教授。3年前、日系ミュージアムなどと連携して共同研究を立ち上げました。スタンガーロス氏は、カナダの日系人差別は、アメリカと比べても極めて苛烈だったと指摘します。
「1943年の1月ですが、わずか1日で膨大な法律が成立しました。その1つが『日系人の財産収用法』です。」
アメリカの日系人は、財産の保全を申し立てる権利自体は認められていましたが、カナダでは日系人の財産は全て没収出来る政策がとられました。
「政府の最も差別主義的だった閣僚が日系人の財産に目を付けたのです。」
これは財産を没収された日系人が当時、地元政府に送った抗議の手紙です。 スタンガーロス氏が公文書館から入手した物で、その数は300に上ります。
-私達の国はナチスがユダヤ人にしたのと同じ事をしているのではないか。民主主義は差別がないことを意味するがこれは真逆ではないか-
スタンガーロス氏は、当時のカナダの空気は世界中で不寛容な風潮が表れている今と共通しており、だからこそ差別の歴史を見つめ直す必要があると考えています。
「手紙から、国家が安全保障を口実に人権を侵害する手口が分かります。今は調査を始めた時に比べ、より似通った状況が見られるのです。」
世界でも移民や難民に寛容なカナダ。しかし最近イスラム教徒や黒人などへの嫌がらせは増えています。 トルドー首相も先月、人種差別の撲滅を国民に呼びかけました。
「国民は過去を認識し未来へと歩まなればならない」
日系人の若い世代の中から今、過去の歴史を見つめようという活動が始まりました。
先月、日系人の俳優達が日系ミュージアムで行った収容所での暮らしを再現した劇です。
「ひどい臭い こんな所に住むなんて、、」
劇を演じた俳優のヨシエ・バンクラフトさん。バンクラフトさんは強制収容の歴史を今こそカナダの一般の人々に知ってもらうべきだと考えています。劇の最後にその思いを語りかけました。
「今も多くの人が不当に拘束されています。日系人への差別は1942年に起きた『過去』ではないのです。」
観客「歴史を知り過去を参考にする事はとても大切です。なぜなら日系人が差別された当時と似た空気が今広がっているからです。」
多様性を掲げるカナダ。差別の歴史を受け止める事で、差別に負けない社会を目指す動きが広がろうとしています。
(VTR終了 スタジオトークはやや要約)
Q.なぜ今日系人が虐げられた過去を見直そうとしているのか?
佐藤文隆記者「このままでは埋まってしまう危機感があるから。
日系人差別は1988年、カナダ政府が保障と謝罪を行って一応の解決したが、
その歴史を共有しようという動きはカナダ社会に広がらず、学校教科書は今でもほとんど記述がない。更に戦後70年を過ぎ当時を知る人は増々減ってきている。
カナダ政府が先住民族への差別を見直す動きを進めているのも追い風になり、差別の歴史をしっかり継承すべきだという危機感を共有する教育界と日系人が連携して動き出した。
Q.それにしても日系人に対する差別は激しかったようですね?
そうです。カナダと戦ったイタリア系やドイツ系移民にこのような差別はなかった。
西海岸には、日系人をはじめ中国などアジア系移民が多いが、戦前からアジア系移民に対する根強い差別感情があった。
ただ、政府や国民の大部分はあくまでカナダ市民である日系人の利益には関心がなかったが、一部の強力な差別主義の政治家と(日系人の住宅を取り壊して再開発しようとする)地元政府の一部が結託して、戦時中のドサクサの中でアメリカにもないような苛烈な法律を通してしまった。
スタンガーロス氏も、一部の先導と多くの人の無関心が日系人への差別を劇化させたと指摘していた。
Q.これをやる意味は?
カナダでは、アメリカと同様に2001年の同時多発テロ以降、イスラム教徒に対する差別が見られるようになり、差別的な対応や事件が今でも起きている。
日系ミュージアムの中にもカナダ政府は移民を摘発・拘束し続けているというプレートがあり、2006年から2014年まで8万7000人の移民を容疑なしに拘束している。どうして歴史は繰り返されるのかと記されている。
イスラム系移民への差別と敵性外国人として日系人が受けた差別は時代も条件も違うが、スタンガーロス氏が指摘しているように、安全保障を理由に政府や国家が移民の人権を制限し差別する点では共通点があるように思う。
だからこそ、今回のプロジェクトに資金提供、支援し、過去の過ちから学ぼうとしていると思う。各地の紛争や政府の失政をきっかけに難民・移民問題が噴出し、世界で不寛容な空気が広がっているからこそ歴史の教訓をくみ取る事がカナダだけではなく、どの国にも必要なのではないかと感じた。
いかにもNHKのリポーターらしい、最後の我こそ正義的まとめはいらないと思いました。
国が安全保障上の観点から「区別」するのは当然の話なのに、味噌くそ一緒にするような話するのは如何なものかと。
それにしても、現在最も寛容ななカナダがこんな異常な差別国家だったとは驚き!
ちなみに、強制収容された日系人の7割はカナダで生まれたカナダ人だったし、収容が完全に解かれたのは終戦から4年後の事だそうです。 何の落ち度がないのに突然全てを奪うなんてあってはならない事!
でも、このプロジェクトのお陰か、来年から教科書への記述が増えるようです
敵国でもヨーロッパ人にはやらない差別を日本人だからとやっていたのはアメリカも。でもアメリカの収容所より酷い扱いだったんだ・・
一方、アメリカでも同じような差別があり、強制連行され収容された日系人の悲劇がありましたが、現地日系人自らの行いで名誉回復や謝罪・賠償が為されました
«アメリカの「大統領自由勲章」を受賞したミノル・ヤスイ氏 &アメリカの日系人「強制収容所」(マンザナ・ホノウリウリ) 【いま世界は】»2015年11月30日
・・女子アナ「大統領自由勲章、毎年アメリカの民間人に贈られる最高位の勲章なんですが、アメリカの民主主義や自由への貢献、芸術やスポーツなどの偉業をたたえる勲章で、24日に授与式が行われました。
そこで映画監督のスティーブンスピルバーグなどに混じり1人の日系人の名が呼ばれました。」
ミノルヤスイ、日系2世の弁護士で、第2次世界大戦中、アメリカに住むおよそ12万人の日系アメリカ人が強制収容所に送られる中、日系人の夜間外出禁止令に抗議し投獄されました。そして戦後も、日系人強制収容所は不当であると訴え続けました。
オバマ大統領「日系アメリカ人への疑い、敵対、立ち退きと収容に耐え、ヤスイ氏は祖国アメリカを信じるこ事を止めませんでした。すべての市民の平等と正義の為に闘ったのです。」(中略)
戦争がアメリカに住む日系人の生活を一変させた。
日本人の蔑称"ジャップ"という文字が街に溢れ、
およそ12万人の日系人が軍事的な理由からマンザナのような内陸地の収容所に送られる事となった。
6割以上がアメリカの市民権を持つ二世だったにも関わらず。(中略)
・・アメリカ政府が公式に謝罪したのは1988年。
人種差別や戦時ヒステリーなどが原因と認め、1人あたり2万ドルの補償を行った。マンザナ収容所跡地は国定史跡に指定され、繰り返してはならないアメリカの人種差別を象徴する場所になっている。
ウィルバー・サトウさん「私達は今もアメリカに残る。人種差別を乗り越えなければならない。黒人の扱われ方から分かるように差別はまだ存在するのです。」・・
「本当の差別」、国家がここまでやるんだと、驚きと同時に当時の日系人を思うと本当に悲しいです。
日本の普段から「人権!人権!」言ってる人達も、本当に差別されたカナダの日系人をどうぞ手助けしてあげてください。
12月8日で戦後が76年になります。 兎に角、このような「事実」を本国に居る私達が「知る」事が本当に重要かと。
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